佐藤けんじ

佐藤けんじ 道南発、日本の未来。

佐藤けんじ
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No. 60 /2007/8/28
脱小泉の時

「成長を実感に」という自民党のスローガンが、ずれたなと感じた人の危惧どおりの参議院選挙結果である。
確かに小泉前首相の時代のトップダウン型政治は善悪の役回りがはっきりした上で、エキサイトする見せ場をテレビを通じてドラマティックに演出し、主役はコイズミでした、と飽きさせず蕩尽させてくれた。
しかし、テーマが変わる度毎に、トップダウンで定めたことが全てつつがなく完了しているわけではないこと、官僚の無謬性が現存しているととを無言の前提にしていたのであった。
ところが、自分たちにはっきりと降りかかる火の粉があることを今回、国民は知ってしまったのである。これは許されないことが起こっていたではないかと。
郵政選挙の結果に歓喜し、自民党はこれでいいんだ、キャッチフレーズだけの暴れ馬を重用して突破できる。もう都市型政党に変わったなどと、勘違いをして、トップダウン型が覆い隠している課題を地道に片付けるボトムアップ型の実務を軽視した。国民生活に直結する政治責任を担う規律と自戒を忘れてしまっていたのである。
「民営化」という技だけでは社会保険庁の年金記録不備は解決するわけがないのである。効率的運営の手段である「民営化」は、国民の福利厚生の増進という正確な実務の遂行という目的を促進するわけではなく、「後で改めるやり方」を伴いがちなのである。よく言えば、民営化を中心とした「制度改革や再設計」をお手軽に弄り回す弊害を覚らねばならない。政治ドラマが覆い隠していた人智の及ばなかった問題に対しては、躊躇せず改めることが不可欠なのである。
国民共通の課題への取り組みは与野党を問わないことであること、自戒を忘れずに知恵を絞り、忍耐強く実務をこなすことこそ、起死回生の燭光を掴むことができる。
                                            

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