佐藤けんじ

佐藤けんじ 道南発、日本の未来。

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No. 58 /2007/4/11
出生率は公約になるわけがない

なんとなく不思議なのだが、なぜ少子化対策が自治体の政策課題なんだろうか。
子供を持つということと、子育てとは異なるテーマであるのに。
子供を持つか否かは極めて個人的な選択であり、出生した子供を地域でどう育てるかとは異なる課題ではないか。
こういうよい条件をつけたから子供産んでくださいとでも市役所が本当に言うのだろうか。
出生率をあげることを公約にしても、その手段はみな子育ての支援しかない。地元での出生率を上げたければ、よい産婦人科の設立と維持である。今、産婦人科が減り、お産を担当しないただの婦人科が増えている現状の改善である。
また、定着まで期待するなら、親元での出産を促し、乳児期の支援を信頼できる身内に(奥さんの両親)してもらえるように、三世代住宅あるいはスープの冷めない距離での近隣居住を促す施策のはずだ。
単に出生率を上げると平然と公約するのは、なんか人の人生の大事な決断に、どこか土足で踏み込んでいるのに気になるのは、ぼくだけだろうか。
ただ、地域の人口減少のうちの社会的減少分への対応策が自治体政策としては考えうる。
つまり、雇用、住宅、子育て、あるいは施設への入居による適地転居を促進するよりよい制度が惹き付けるのである。ティブーの「足による民主主義」の実例である「地域間競争」の制度作りである。
しかし、政策課題の優先順位で言えば、高齢者向けの地域づくりよりも子供向けの地域づくりをしますと、表明することになる側面を持つ。
政策目標と手段のリンクを欠いた達成できもしない公約の典型である。真剣に考えてほしい。

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