佐藤けんじ

佐藤けんじ 道南発、日本の未来。

佐藤けんじ
コラム
過去のコラム一覧へ
No. 51 /2006/9/11
ブレア時代の終焉

「イギリスは3つの問題を抱えている。第1に教育、第2に教育、第3に教育だ」と。
トニーブレアはイギリスの今日と明日に向けて、6つのキーコンセプトをあげた。
@数の応用力  Aコミュニケーション能力  B情報活用能力
Cチームワーク力  D自己を改善する力  E問題の解決力
である。義務教育が子供たちに身につけてもらいたい「読み書きそろばん」の現代版が@〜B。世の中で生きていく社会力がC〜Eだろう。むしろC〜Eは子供時代だけではなく、社会人であっても絶えず状況に応じて磨きをかけていく必要がある力だろう。
豊かなキャッチフレーズがブレアの言葉として語られる、第三の道、ポジティブウェルフェアどれも実はあまりはっきりしない。むしろサッチャー路線の修正的継承というべきものである
保守と労働党であっても、危機の深さはリーダーのとるべき政策を収斂させてしまう。
時代の要請を的確に読み取り、既存の制度を見直し、本来の機能を見失った組織は破壊するか、活性化を図る。
人々には公園のベンチやパブで語り続けるというより、考え、自己を磨き、何かし続ける行動が道のりを切り開くことだと語り続ける。炭鉱労働者が男性ストリッパーになるペーソスとユーモアのある映画があった。それでもイギリスのジョンブル魂を鼓舞し続けていた。
老大国が再活性化の大手術を我慢し続けているのは、ブレアの語る言葉に、希望を感じさせる力と技術があったからではないだろうか。ソフトで人をそらさないコミュニケーション力、そして果敢さが良く似合うブレアも、イラク戦争への決断の代償は大きかった。
サッチャーが砕きそして切り開き、ブレアが修正して推し進めた社会民主主義路線からの離脱は、国主導で運営する産業の保護と、社会福祉システムの限界を打破する処方箋を示している。大手術は我慢するけど、麻酔くらいはかけてくれ、と。

Copyright (C) 2003-2008 Satou Kenji, All rights reserved.