佐藤けんじ

佐藤けんじ 道南発、日本の未来。

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No. 49 /2006/9/6
慶祝 親王殿下お誕生おめでとうございます

これほど異口同音に「よかったね。」という慶事、まずない。女系天皇容認の有識者会議の結論を受け、皇室典範改正が国会に上程されるまさにその時、ご懐妊が報じられ、改正審議が見送りになりました。
二千年の歴史を持つ皇室の生命力のすごさ。第二次大戦後に憲法下に皇室典範が収められ、その後十分な議論を経ないまま今日に至っています。
報告書に目を通しましたが、どのうように議論するべきか自体と、結論は欧州の親戚だらけの王族のようにグローバリゼーションの流れに乗り、容易に創りかえられるただの制度であるかのような扱いでよいのだろうか、という躊躇いがありました。
中国の易姓革命は異民族の先王朝の皇帝の墓を暴き、否定から出発するのに、日本の天皇家は一国内で維持し、国のなりたちとともにあり続けることを失わなかった。日本らしさ形作ってきた歴史の骨格であるはずなのに。
米国の大学にいったときでした。日本政治の授業を受けたときにクラスにいたポーランド人の留学生が語った事を思いだしました。
「日本は天皇がいていいな。」
「えっ?!」
「国がばらばらにこわれない」
「そういわれれば、そうかと思うけれど・・・。」
ポーランドは連帯のワレサ委員長が自由を求めていた、社会主義の末期で、国論が分裂した騒擾のさなかであった事を思い出しました。
あまりに当たり前の存在である天皇制を、そして日本のことを如何に自分が知っているつもりであっただけだったか、思い知ったきっかけでした。
私たちの世代だけで容易く変えてはいけないことがある。知らないとか考えてみたこともないではすまされない事に、畏怖と畏敬をおもいます。

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