佐藤けんじ

佐藤けんじ 道南発、日本の未来。

佐藤けんじ
コラム
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No. 46 /2006/7/18
極東の緊張

北朝鮮との軍事同盟国であり、六カ国協議の議長国であり、食料や燃料の供給を止めれば破壊的効果を与える立場にある中国、拒否権行使を声明しながらも北朝鮮への国連憲章第七章による「制裁への階段」にのることをかろうじてしのぎ、中世の領邦国家の暴君ともいうべきやっかいものを慰撫と恫喝よって手懐けていたはずだった中華の皇帝は、外交カードとしての北朝鮮の有効性維持が、困難になりつつある現実に直面している。
国連憲章第七章への言及は「平和への脅威」であると安全保障理事会が認めればカウントダウンが始まる。対象国の国内法や外交的取り決めも、超法規的に突破する安保理の決議は、国連加盟国全てに決議内容の遵守を求めうる。
北朝鮮のミサイル発射よりも、日本の対応を過剰反応として攻撃したことが国際社会からの孤立を意味した韓国の現政権は、仲介者としての機能を回復しえない。
決議を即座に拒絶した北朝鮮の次なる一手は、カウントダウンの引き金であると分かっていても、北朝鮮は体制維持に次なる強攻策をとらざるを得ないだろう。
イラクから自衛隊諸君の引き上げが完了した。
現代の開発論は、援助の継続により貧困から抜け出させようとする試みが必ずしもうまくいかないことに気がついているけれど、法による支配という平和の構築も棘の道である厳しさを教えている。
ロールズの正義論は原理主義者のような人々の価値観を前提にはしない私たちが貧困からの脱出と民主化考えるときに、共産主義の開発独裁であったはずの国家が、個人崇拝の軍事独裁国家として自国民する処断する状況にまで立ち至った時に、離脱には国家の崩壊がともなう現実がある。ただ、イラクの現状が、北朝鮮の未来の選択肢であるとすれば、最もうまくいった結末だといえるほど、今後のシナリオは悲観的である。

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