佐藤けんじ

佐藤けんじ 道南発、日本の未来。

佐藤けんじ
コラム
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No. 26 /2005/5/16
日中韓

中国各地での反日をスローガンとした示威活動は整然たる抗議行動の枠をこえたものであり、資本家を人民に加えても一党独裁を本旨とする共産主義国家である中国で、政府の黙認なく、このような行動ができるとはとても考えにくい。従って、中国政府の意図を織り込んでいると言わざるをえない。
また、韓国においては現政権が太陽政策という北朝鮮への融和策というより、むしろ容認策とり、日本人拉致被害者への決議にも棄権する現況は、外交的な立場よりも民族的な繋がりを重視し、連邦制による南北統一国家建設への努力という悲願の表現型であろう。結果として、韓国の中国との共同歩調を示すものとなっている。
冷戦時代の大きな傘のなかで、日本、米国、韓国の対ロシア(ソ連)または対中という大きなフレームが明らかであった時代とは異なり、政府と自国民の統御バランスの崩壊を示している。中、韓、北朝鮮は「抗日」をスローガンとして時代があり、国家建設の動機にもなっており、共産主義を捨てつつある中国、なんとか北との統一に向けて進みたい韓国にとって、唯一共有できる政治的なスローガンである、国内の共通の利益より国外に共通の敵を作り出す方が、国論を統一しやすいのは為政者にとり魅力的な手段であるのは確かである。近隣諸国との間では、北方領土、尖閣諸島、竹島と領土問題が懸案事項として横たわる、どれをとっても国際仲裁裁判所に提出した場合、日本であるのは明らかである。ゆえにロシア、中国、韓国は提出に同意しない。ただ、外交的には消えることのない火種であり続ける、棚上げし続けてきた戦後は領土問題を自国にとって都合がよい解釈を歴史の名の元に自国民に植え付けられてしまっている。
近隣諸国の対日姿勢の現実は、戦後日本の憲法に象徴される無色透明な理念や国連中心主義を、外交の中心として据えておけば充分という考えが錯覚であり、歴史がありすぎることを思いしらされる。極東において明らかに冷戦の構造は残りつつも変容している、日本は否応無く、来歴をもつ国として、ただ1人国益を語り、自国民の安全を守る国の義を、主張し、外交を駆使する時期が来ている。

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